LMIA カナダ労働省(ESDC: Employment and Social Development Canada)によるTFWプログラム運用の調査結果を発表

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カナダ労働省(ESDC: Employment and Social Development Canada)によるTFWプログラム運用の調査結果を発表

2025年10月6日、カナダ労働省 (通称ESDC)による2024-2025年の外国人労働者の雇用状況に関する調査結果が発表されました。
(出典:こちら)

TFWプログラムとは

雇用に関しては、常にカナダ人が最優先です。ゆえに、外国人臨時労働者プログラム (TFW プログラム:主にLMIAなど) は、適格なカナダ人および永住権保持者を雇用できない場合に限り、雇用主が最後の手段として利用するものとされております。
「この外国人を雇用したいから」ではなく、「カナダ人・永住権保持者の雇用を試みたが適切な人材が見つからなかったから」という理由で申請することが可能なのがこのTFWプログラムです。

TFWプログラムにおいては、カナダ人労働者が常に優先されるよう、厳格な審査プロセスが設けられています。TFWプログラムの利用を希望する全ての雇用主は、TFWプログラム申請時に、掲載している求人広告やレジュメの集計結果、ジョブインタビューの結果等を提出することで、「カナダ国内での採用努力が実を結ばなかった」ということを証明しなければなりません。また、申請中も継続して採用活動を行う必要があります。

TFWプログラムの労働者はカナダの労働力の約1%を占めており、農業、食品加工、建設、医療などの重要な分野で重要な役割を果たしています。

TFWプログラムの厳格化と調査の目的

2024年9月の労働市場の逼迫を受けて、TFWプログラムへの依存を減らすために複数の対策 (大幅なルール変更オファー時給の改定 など) が講じられたことで、申請件数は全体で50%減少、Low-Wage Stremにおいては70%減少しました。

外国人臨時労働者を雇用する雇用主は、安全で健康的かつ尊厳のある労働環境を提供する義務があります。政府は、外国人臨時労働者の健康と安全を守るため、強力なコンプライアンス体制 (The employer compliance regime) を整えています。
The employer compliance regimeは、調査を通じてプログラム要件や条件の遵守状況を確認することを目的としています。これらを守らない雇用主には、年間最大100万ドルの行政罰金(administrative monetary penalties :AMPs)が科され、TFWプログラムの一時的または永久的な利用禁止処分が下される可能性があります。

調査結果

ESDCは2024〜2025年度に計1,435件の雇用主の調査を実施し、そのうち10%の雇用主が不適合と判定されました。同期間中、罰金額は2,067,750ドルから4,882,500ドルへと倍増、TFWプログラムから排除された雇用主は36社に上りました。これは前年の3倍にあたります。

2024年4月1日から2025年3月31日までの不適合事例の一部は以下の通りです。

✅事例1:農業分野の雇用主
事由:適切な労働環境を提供せず、検査官への必要書類の提出を怠った
処分:212,000ドルの罰金と2年間のTFWプログラム利用禁止

✅事例2:住宅建設業界の雇用主
事由:適切な賃金と労働環境を提供せず、連邦および州の労働法に違反した
処分:161,000ドルの罰金と5年間の利用禁止

✅事例3:長距離トラック運送業界の雇用主
事由:実態のある事業運営を行っておらず、検査官への必要書類の提出を怠った
処分:150,000ドルの罰金

事例4 (過去最大の罰則判定):魚介類業界の雇用主
事由:適切な賃金と労働環境の提供を怠り、連邦および州の労働法に違反し、虐待のない職場環境を提供しなかった
処分:100万ドルの罰金と10年間のTFWプログラム利用禁止

この重罰則は、労働者への虐待やプログラムの悪用が一切容認されないことを強く示しています。

※TFWプログラムの条件に違反した雇用主は、IRCCが管理する公開ウェブサイトに掲載されます。

今後の取り組み

TFWプログラムの改善が必要であることは明らかです。これは、特定の戦略的分野や地域のニーズに焦点を当てたアプローチから始まります。
カナダ政府は、TFWプログラムの健全性を強化し、外国人臨時労働者の保護を向上させる取り組みを継続しています。カナダの雇用主によるプログラムへの依存を減らすことも、その計画の一環です。

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