
LMIA
Labour Market Impact Assessment
LMIAとは?
LMIAとは、Labour Market Impact Assessmentの略称です。就労ビザ申請の際や永住権申請でポイント加算目的として、このLMIA申請が必要になることがあります。
LMIAは、雇用主がESDC(カナダ労働省、通称サービスカナダ)宛てに申請を行うもので、カナダの雇用情勢等を考慮して、外国人を雇うことがカナダ人、PR保持者の雇用に悪影響を与えないかを審査するものです。
原則就労ビザ申請を行う場合は一部例外となるプログラム(LMIA exemption)を除き、承認されたLMIAが必要になります。
カナダ人、PRの雇用を守る
カナダ政府は、カナダ人の雇用機会が外国人によって奪われることを望みません。
しかしながら、カナダ経済において、人手不足は深刻な問題です。
このジレンマを解消するための制度がLMIAです。
LMIAの審査で、雇用主はカナダ人、PR保持者を雇うために十分な努力をしたかどうかを査定されます。
これにより、カナダ政府はカナダ人の雇用を守りながら外国人の労働力を受け入れるという、矛盾する二つの目標を達成できるのです。
外国人労働者を守る
LMIAでは、雇用される予定の外国人が差別や虐待を受ける心配がないかも審査されます。
LMIAの審査の過程で、雇用主は以下の誓約を求められます。
- 適正な賃金をオファーする
- 外国人労働者に働いた分すべての賃金を支払う(法定の時間外給与を含む)
- 労災保険を提供する
- 外国人労働者に、他の従業員と同じ福利厚生を適用する
- 外国人労働者の身分証(パスポートなど)を取り上げてはいけない
外国人労働者の中には、経済的に裕福ではない国からカナダに出稼ぎで来る人もいます。
そのような外国人労働者の足元を見て、サービス残業をさせたり、福利厚生を与えなかったり、パスポートを取り上げて逃げられないようにすることを、LMIAは雇用主に禁じています。
LMIAは、カナダ人と外国人労働者の両方を守る制度なのです。
LMIAの申請ストリーム
LMIAは以下の3つのストリーム(申請区分)に分かれています。
- Low-Wage Stream(低賃金ストリーム)
- High-Wage Stream(高賃金ストリーム)
- Permanent Resident Stream(PRストリーム)
Low-Wageの申請条件
条件1:申請可能人数
(1)CAP (一社でサポートできるLMIAの上限数) は10%
(例)フルタイムの従業員*が10名いるロケーションの場合、1名までLMIAを申請することが可能です。
支社・店舗などで働いている場合、会社全体の従業員数ではなく、LMIAでサポートする予定の従業員が働いているロケーションの従業員数から算出されます。
*パートタイム2名=フルタイム1名と換算
*就労ビザを必要としない場合のPR Streamの場合、CAPは問われません。
※LMIA=就労ビザではありません。
例えば3年分のポスグラを保持しており、永住権申請 (Express Entry) の加点要素としてLMIAを取得したい場合、LMIAベースの就労ビザの発行を伴わない、LMIAのみの申請となります。
(2)以下のセクターに関連する職種の場合、Capは20%
NAICS 23 – Positions in construction
NAICS 311 – Positions in food manufacturing
NAICS 622 – Positions in hospitals
NAICS 623 – Positions in nursing and residential care facilities
ケアギバー関連のうち以下のポジションに該当する場合
– NOC 44101 – Attendant for persons with disabilities, home support worker, live-in caregiver, personal care attendant
– NOC 31301 – Registered nurse or registered psychiatric nurse
– NOC 32101 – Licensed practical nurse
– NOC 44100 – Home childcare providers
*但し、「Live-in (住み込み)」のCaregiverの場合、24時間体制でなければならない正当な理由が証明できる場合のみ、LMIA申請が可能です。
条件2:エリア失業率
対象エリアのうち、失業率が6%を超えるエリアからのLMIA申請は審査されないとのことです。
2024年9月26日時点の対象エリアと失業率はこちらからご覧いただけます。
◆失業率は通常3ヶ月に1回更新されます。
(1~3月、 4~6月、 7~9月、 10~12月)
◆2024年9月3日~2025年3月3日まで、モントリオールでのLow Wage PositionでのLMIA申請は審査されないことが既に発表されております。
【例外】
・失業率リスト対象外のエリアの場合
・就労ビザを必要としない場合のPR Stream
・下記、条件1(2)のセクターに該当する場合
上記の場合、エリア失業率については問われません。
High-Wageの申請条件
条件:オファー時給
オファー時給は各州・地域の平均時給の1.2倍でなければなりません。
主要州・地域の平均時給と必要なオファー時給は以下の通りです。
こちらは変動するため、LMIA申請直前に必ず確認する必要がございます。
(出典:こちら)
Province/territory | For LMIAs received before June 27, 2025 | For LMIAs received as of June 27, 2025 |
Alberta | $35.40 | $36.00 |
British Columbia | $34.62 | $36.60 |
Manitoba | $30.00 | $30.16 |
New Brunswick | $28.85 | $30.00 |
Newfoundland and Labrador | $31.20 | $32.40 |
Northwest Territories | $47.09 | $48.00 |
Nova Scotia | $28.80 | $30.00 |
Nunavut | $42.00 | $42.00 |
Ontario | $34.07 | $36.00 |
Prince Edward Island | $28.80 | $30.00 |
Quebec | $32.96 | $34.62 |
Saskatchewan | $32.40 | $33.60 |
Yukon | $43.20 | $44.40 |
申請条件の確認
以下のチャート式より、申請に必要な条件・申請可能な方法をご確認頂けます。

【対象セクター】
NAICS 23 – Positions in construction
NAICS 311 – Positions in food manufacturing
NAICS 622 – Positions in hospitals
NAICS 623 – Positions in nursing and residential care facilities
ケアギバー関連のうち以下のポジションに該当する場合
– NOC 44101 – Attendant for persons with disabilities, home support worker, live-in caregiver, personal care attendant
– NOC 31301 – Registered nurse or registered psychiatric nurse
– NOC 32101 – Licensed practical nurse
– NOC 44100 – Home childcare providers
*但し、「Live-in (住み込み)」のCaregiverの場合、24時間体制でなければならない正当な理由が証明できる場合のみ、LMIA申請が可能です。
【失業率リスト 対象エリア】
こちらからご確認頂けます。
その他のLMIA申請条件
- LMIA申請料
$1,000(外国人労働者一人当たり *一部免除職種あり)を雇用主が支払うこと - 職種・給与
申請条件を満たす職種・給与のジョブオファーであること - 就労時間
フルタイム(週30時間以上)のジョブオファーであること - 採用活動
(1) 雇用主はまずカナダ人・PR保持者から雇用する努力をしたという証明ができること(最低4週間の求人広告掲載+レジュメの集計、実際におこなったジョブインタビューの詳細等、採用の努力を証明する)
(2) 求人広告は所定の十分に代表されていないグループ(underrepresented group)を対象にしたものを含むこと(Low-Wage Streamのみ)
(3) 求人広告はカナダ全国を対象としたものを含むこと(High-Wage Streamのみ) - 経営状況や事業の正当性を証明
- 最新のT2 Schedule 100&125
または
- 銀行上級管理職からのAttestation Letter
のどちらかの提出が必須となります。 - その他の費用負担
(1) 外国人労働者が州の医療保険に加入するまでの間の民間医療保険費用を負担すること
(2) 外国人労働者の居住地とカナダでの雇用先との間の往復の移動費用を負担すること(Low-Wage Streamのみ) - 申請から6年間申請に関わる書類を保管すること
度重なるルール改定の目的
政府は下記の問題の解決を目指して、LMIA制度のルール改定を進めています。
その関係で、今後もルール・申請条件の変更及び厳格化が進むと考えられます。
(1)制度の不正利用の取り締まり
LMIA制度を適切に利用している雇用主が大多数ですが、カナダ政府は不正使用や詐欺、ならびに労働市場の状況の変動を慎重に考慮した上で、必要に応じて調整を行い、ルールを遵守している雇用主のみが制度を利用できるようにすることを目指しています。
(2)カナダの経済とカナダ人労働者の保護
この改革には、一時外国人労働者の保護を強化をしつつ、国内労働者の雇用を優先させる目的があります。
例えば、
・2024年9月の若者の失業率は13.5%で、全国平均の6.5%を大きく上回った
・2023年には、すべての教育レベルにおいて、先住民の失業率は非先住民の25~54歳人口の4.5%に対し、7.7%と高い水準にあった
・2022年には、16~64歳の障害者の雇用率(65.1%)は、障害のない人の雇用率(80.1%)より15ポイント低いものであった
上記のように、特に若者の失業率は年々増加しており、先住民、女性、障害者などにおいても同様の状況が見られるそうです。
LMIA申請~就労ビザ申請までの手順
雇用主がカナダ人やPR保持者の雇用努力を行った証明として求人広告4週間の証明が必要
求人広告結果及びその他必要書類を揃えて申請
審査官から追加で質問や書類要求がくることがあります
原則審査官は雇用主と直接電話をし、申請内容や雇用努力の確認等を行います
審査に通ればPositive LMIAが発給されます
LMIA審査のポイント
審査官は、優秀な外国人労働者が欲しいわけではありません。外国人に仕事を与えることによって、カナダ人の雇用に悪影響を与えないかが審査のポイントになります。
例えば、ある企業で空きポジションが出た際、求人を出したときにそのポジションに見合う条件のカナダ人やPR保持者から応募が殺到した場合、わざわざ外国人にビザを発給してまでそのポジションを与えてしまうと、カナダ人の雇用機会を奪ってしまうことになります。こういった場合、LMIAの許可がでる可能性は低くなります。
カナダの失業率(Unemployment rate)にも左右されますから、全く同じ条件で申請しても、失業者が多い時期ではLMIA発給率も下がる傾向にあります。
逆に、一人外国人労働者を雇うことでもっと多くのカナダ人・PR保持者の雇用を見込める場合などはプラスに働きます。例えば、カナダでは探すことが難しい特別な技術や知識を持った外国人労働者を一人雇用うことで他の労働者に指導ができるなどのケースです。
原則、サービスカナダの審査官は、カナダ国民(カナダ人・PR保持者)に優先的に仕事を与えたいという事を念頭に置いた申請が必要です。
■その他のカナダ就労ビザ種類についてはこちらをご覧ください